歯科のレントゲン・CTは被ばくが心配?線量をやさしく比較

歯科のレントゲン・CTは被ばくが心配?線量をやさしく比較
歯科医院で「レントゲンを撮りますね」と言われたとき,「被ばくは大丈夫かな?」「妊娠中でも平気?」と不安に感じたことはありませんか?とくに最近はCT撮影をおすすめされることも増えてきました。この記事では,歯科で使うレントゲンやCTの被ばく量を,日常生活で浴びる放射線と比べながら,やさしくご説明します。
そもそも「被ばく」ってなに?
私たちは普段の生活の中でも,宇宙や大地,食べ物などから自然に放射線を浴びています。これを「自然放射線」と呼び,日本では平均して1年あたり約2.1ミリシーベルト(mSv)ほどを浴びているといわれています。
放射線の量を表す単位は「シーベルト(Sv)」で,歯科で扱う量はごくわずかなので「マイクロシーベルト(μSv)」という小さな単位で表します。1ミリシーベルト=1,000マイクロシーベルトです。
歯科レントゲン・CTの線量をくらべてみましょう
歯科で使う主な撮影方法の線量の目安を,表にまとめました。
| 撮影の種類 | 線量の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| デンタル(小さい部分撮影) | 約1〜10μSv | むし歯・歯の根の確認 |
| パノラマ(お口全体) | 約10〜30μSv | 全体のチェック・親知らず |
| 歯科用CT(コーンビームCT) | 約30〜100μSv | インプラント・親知らず・根の治療 |
| (参考)医科用CT(胸部など) | 約5,000〜10,000μSv | 内科等の精密検査 |
| (参考)東京〜ニューヨーク往復飛行機 | 約200μSv | 宇宙からの放射線 |
| (参考)日本の自然放射線(1年間) | 約2,100μSv | 生活環境 |
こうして見ると,歯科のデンタル撮影1枚は,飛行機で数十分フライトする程度の線量にしかなりません。歯科用CTも,医科用CTと比べるとかなり少ないことがわかります。
よくあるご質問
Q.何枚も撮って平気ですか?
1回の診療で複数枚撮影することもありますが,それでも年間の自然放射線量と比べればごく少量です。必要な回数を守って撮影していますので,過度に心配される必要はありません。
Q.妊娠中でも撮影できますか?
歯科の撮影部位はお口まわりで,お腹とは離れています。さらに防護エプロンを着用しますので,胎児への影響はきわめて少ないと考えられています。ただし妊娠中は,急を要しない撮影は時期をずらすことも多いので,必ず歯科医師にご相談ください。
Q.子どもに撮っても大丈夫?
お子さんの撮影でも,必要な範囲に限って行いますし,防護エプロンや甲状腺防護カラーなどを使って配慮しています。心配なことは遠慮なくお尋ねください。
被ばくを減らすための工夫
- 防護エプロン・甲状腺防護カラーの使用
- デジタル撮影機器による線量の低減(従来のフィルムより大幅に少ない線量で撮影可能)
- 必要最小限の範囲・回数での撮影
- CTは「必要なときだけ」撮影
撮影にかかる費用と期間の目安
気になる費用についてもご案内します。
- デンタル撮影:保険適用で約60〜100円(3割負担の場合)
- パノラマ撮影:保険適用で約400〜1,200円(3割負担の場合)
- 歯科用CT:保険適用の場合は約1,000〜3,500円(3割負担)。インプラント目的など自費の場合は約5,000〜20,000円が目安です。
撮影そのものにかかる時間は,デンタルで数十秒,パノラマで約15秒前後,歯科用CTでも10〜30秒程度で終わります。結果の説明も含めて,通常はその日のうちにご案内できます。治療の経過観察で再撮影が必要になる場合は,数か月〜1年ごとなど,症状に応じて間隔をあけて行うことが一般的です。
まとめ
歯科のレントゲン・CTは,正しい診断と安全な治療のためにとても大切な検査です。線量は自然放射線や飛行機での被ばくと比べてもごくわずかで,防護対策もしっかり行われています。
とはいえ,一人ひとり体の状態や妊娠の有無,過去の医療被ばくの状況は違います。少しでも不安があれば,撮影前に必ず歯科医師にご相談ください。納得したうえで検査を受けていただくことが,安心につながります。
参考情報
- 厚生労働省「医療被ばくの適正管理に関する情報」
- 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」
- 日本歯科医師会「歯科診療とX線撮影について」
- 日本歯科放射線学会「歯科におけるコーンビームCT 臨床画像診断ガイドライン」
- 国際放射線防護委員会(ICRP)勧告
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・大学教授)|所属・経歴はプロフィールへ ›
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