歯周病の治療費と期間|保険適用の範囲と通院回数の目安

こんにちは。歯科医師です。歯科医院で「歯周病ですね」と言われたとき,多くの患者さんがまず心配されるのが「治療費はいくらかかるの?」「どのくらい通えばいいの?」という現実的な疑問です。今回は,歯周病治療の費用と期間について,保険適用の範囲も含めてわかりやすくお伝えします。
歯周病治療の基本的な流れ
歯周病の治療は,症状の重さによって段階的に進めていきます。まずは全体像を把握しておきましょう。
- 検査・診断(歯周ポケットの測定,レントゲン撮影など)
- 歯周基本治療(歯石除去,ブラッシング指導など)
- 再評価検査
- 歯周外科治療(必要な場合のみ)
- メインテナンス(定期管理)
この流れは日本歯周病学会の「歯周治療のガイドライン2022」に沿ったもので,軽度から重度まで基本は共通しています。
気になる治療費の目安|保険適用か自費か
保険適用される治療
うれしいことに,歯周病治療の多くは健康保険が適用されます。3割負担の方の窓口での支払い目安は以下のとおりです。
※金額は目安です。令和8年(2026年6月〜)の診療報酬点数をもとにした3割負担の概算で,再診料・検査・エックス線などを含むかどうかで変わります。地域・医院で差があります(2026年10月17日確認)。
| 治療内容 | 3割負担での費用目安 |
|---|---|
| 初診・歯周検査 | 約3,000〜4,000円 |
| スケーリング(歯石除去・全顎) | 約2,000〜3,000円 |
| SRP(歯ぐきの奥の歯石除去・1ブロック) | 約1,000〜1,500円 |
| 歯周外科手術(1歯あたり) | 約2,000〜4,000円 |
| メインテナンス1回 | 約3,000〜4,000円 |
軽度〜中等度の歯周病の場合,基本治療が終わるまでのトータルでおおよそ1万円〜2万円程度に収まることが多いです。
自費(自由診療)になる治療
一方で,以下のような治療は保険適用外(自費診療)になることがあります。
- エムドゲイン®などを使う歯周組織再生療法(自費):1歯あたり5万〜15万円程度。なお,リグロス®を使う再生療法は条件を満たせば保険が使えます
- 骨補填材を使う再生療法:保険で行える場合(歯周外科手術と同時に骨代用物質を入れる場合など)と,自費の材料を使う場合があります(自費の場合は5万〜20万円程度)
- レーザー治療(自費で行う場合):1回数千円〜数万円
- 歯周病予防に特化した自費メインテナンス:1回5,000〜15,000円
費用については治療前に必ず歯科医院で見積もりを確認しましょう。
治療期間と通院回数の目安
「いつ終わるの?」というご質問も多いです。重症度別の目安をまとめました(臨床上の一般的な目安で,個人差があります)。
| 重症度 | 通院回数の目安 | 治療期間 |
|---|---|---|
| 軽度(歯肉炎〜軽度歯周炎) | 3〜5回 | 1〜2か月 |
| 中等度 | 6〜10回 | 3〜6か月 |
| 重度(外科処置を含む) | 10回以上 | 6か月〜1年以上 |
治療終了後も3〜6か月に1回のメインテナンス通院が推奨されます。歯周病は再発しやすい病気ですので,ここが一番大切なポイントです。
費用を抑えるための3つのポイント
- 早期に受診する:軽度のうちなら治療回数も費用も最小限ですみます。
- セルフケアを徹底する:歯科医院で習ったブラッシングを毎日続けることで,治療の効果が出やすくなり,結果として通院回数が少なくて済むことがあります。
- メインテナンスを欠かさない:定期的なメインテナンスを長く続けた人では,歯を失う本数が少なかったという報告があります(Axelsson ら,2004)。将来の治療費がどれだけ変わるかは,この研究では調べられておらず,まだ十分に分かっていません。
こんなときは早めに歯科医院へ
- 歯みがきのとき血が出る
- 朝起きたとき口の中がネバつく
- 歯ぐきが赤く腫れぼったい
- 口臭が気になる
- 歯が長くなったように見える
これらは歯周病のサインかもしれません。「まだ大丈夫」と思って放置すると,結果的に治療期間も費用も大きくふくらんでしまうことがあります。
ご自宅でできる簡単な見分け方は,こちらの記事でまとめています。
→ 歯周病の簡単な見分け方|鏡で見るポイントと歯科検診の目安
最後に
歯周病治療は決して「高額で長期間」というわけではなく,早い段階なら,多くの場合は保険診療の範囲で治療できます。ただし,症状や治療方針は一人ひとり異なり,重い場合や再生療法を選ぶ場合は自費になることもあります。本記事の内容はあくまで一般的な目安ですので,ご自身の治療内容や費用については,必ずかかりつけの歯科医師にご相談ください。
お口の健康は,全身の健康にもつながると考えられています。気になる症状があれば,ぜひ早めに歯科医院の扉を叩いてみてくださいね。
分かっていること・まだ分からないこと
- 分かっていること:歯周病治療の多く(検査・歯石除去・SRP・歯周外科・継続的な管理)は保険診療で受けられます。2026年6月から令和8年の診療報酬点数が適用されています。
- 分かっていること:長期にメインテナンスを続けた人では歯を失う本数が少なかったという報告があります(Axelsson ら,2004。30年の追跡)。
- まだ分からないこと:メインテナンスを続けることで生涯の治療費がどれだけ減るかは,上の研究では調べられていません。研究によって結果が分かれます。
- 未確認:本記事の金額は概算で,令和8年点数での個別の積算は確認中です。実際の窓口負担は医院・治療内容により異なります。
参考資料
- 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン2022」
https://www.perio.jp/publication/guideline.shtml - Axelsson P, Nyström B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2004;31(9):749-757.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15312097/ - 令和8年度 歯科診療報酬点数表(厚生労働省告示。2026年6月適用)
最終確認日:2026年10月17日(制度・料金・資料を確認した日)
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・大学教授)|所属・経歴はプロフィールへ ›
本サイトは所属機関の公式見解ではありません。
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