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専門家コラム2026-10-23約6分

歯ぐきにできものができた|フィステル(膿の出口)が示すサイン

歯ぐきにできものができた|フィステル(膿の出口)が示すサイン

歯ぐきに白いできもの?それ「フィステル」かもしれません

鏡で口の中を見たとき,歯ぐきにぷくっとした白いできものや,ニキビのような膨らみを見つけて不安になった方はいませんか?痛みがないことも多く,「様子を見ようかな」とそのままにしてしまう方も少なくありません。しかし,そのできものは「フィステル(瘻孔:ろうこう)」と呼ばれる,お口の中からのサインかもしれません。

このブログでは,患者さんが気になる「フィステルって何?」「放っておいて大丈夫?」「治療にはいくらかかるの?」といった疑問にお答えしていきます。

フィステルとは?膿の“出口”です

フィステルとは,歯の根の先や歯ぐきの奥にたまった膿(うみ)が,行き場を失って歯ぐきの表面に通り道を作り,そこから排出されている状態のことをいいます。見た目は小さな白いできもの・赤いニキビのような膨らみに見えることが多く,押すと白っぽい膿が出ることもあります。

フィステルの特徴

  • 歯ぐきにぷくっとした膨らみができる
  • 痛みがほとんどない,あるいは軽い違和感程度
  • 膨らみが大きくなったり小さくなったりを繰り返す
  • 押すと膿が出てくることがある
  • 口の中に嫌な味を感じることがある

「痛くないから大丈夫」と思いがちですが,フィステルは体が膿を外に逃がしてくれているだけで,根本の問題が解決したわけではありません。

なぜフィステルができるの?考えられる原因

フィステルができる背景には,いくつかの原因が考えられます。

1. 根の先の炎症(根尖性歯周炎)

以前に神経を取る治療をした歯の根の先に細菌が残り,炎症を起こして膿がたまっているケースです。フィステルの原因としてもっとも多いパターンです。

2. 歯の根が割れている(歯根破折)

神経を取った歯や,強い力がかかった歯の根にヒビが入ることで,そこから細菌が侵入し膿がたまることがあります。

3. 重度の歯周病

歯ぐきの深い部分で炎症が進み,膿がたまって出口を作ることがあります。

4. 乳歯の根の先の病気(お子さんの場合)

乳歯の虫歯が進んで根の先に膿がたまり,永久歯のそばにフィステルができることがあります。

放置するとどうなるの?

フィステルは痛みが少ないため,つい放置してしまいがちです。しかし,そのまま放っておくと次のようなリスクがあります。

  • 原因となっている歯の周囲の骨が溶けていく
  • 隣の歯にまで炎症が広がる可能性がある
  • 最終的に歯を抜かなければならなくなることがある
  • 体調が落ちた時に急に腫れて強い痛みが出ることがある

気になる症状に気づいたら,自己判断で潰したりせず,必ず歯科医師にご相談ください。

治療方法と費用・期間の目安

フィステルの治療は,原因によって異なります。ここでは代表的な治療と,一般的な費用・期間の目安をまとめます。

治療法 内容 費用の目安 治療期間の目安
根管治療(感染根管治療) 歯の根の中を清掃・消毒し,再び薬を詰める 保険適用:3,000〜10,000円程度(通院回数による) 約1〜3か月(週1回程度の通院)
精密根管治療(マイクロスコープ等使用) より精密な根の治療。自費診療となる 自費:50,000〜150,000円程度(1歯あたり) 約1〜3か月
歯根端切除術 根の先の病巣を外科的に取り除く 保険適用:5,000〜15,000円程度/自費の場合50,000〜150,000円程度 手術当日+経過観察数か月
抜歯 保存が難しい場合に歯を抜く 保険適用:1,500〜5,000円程度 抜歯後の治癒に1〜3か月

※費用はあくまで目安であり,お口の状態や医療機関によって変わります。くわしくは受診する歯科医院でご確認ください。

ご自宅でできること・できないこと

やっていいこと

  • やさしく歯みがきを続ける(患部も清潔に保つ)
  • うがい薬で口の中を清潔に保つ
  • できるだけ早く歯科を受診する

やってはいけないこと

  • 自分で針などで潰す(感染が広がる危険があります)
  • 市販の痛み止めだけで様子を見続ける
  • 「痛くないから」と放置する

まとめ:小さなサインを見逃さないで

フィステルは,お口の中からの大切なSOSサインです。痛みがないからといって安心せず,早めに歯科医院を受診することで,歯を守れる可能性が高まります。「もしかしてフィステルかも?」と感じたら,自己判断せず,必ず歯科医師にご相談ください。

早期に適切な治療を受けることで,大切な歯を長く使い続けられる可能性が広がります。気になる症状があれば,どうぞお気軽にかかりつけの歯科医院へご相談くださいね。

参考情報

  • 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」
    https://www.mhlw.go.jp/
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
    https://www.jda.or.jp/park/
  • 一般社団法人 日本歯内療法学会「患者さんのための歯内療法ガイド」
    https://www.jea.gr.jp/
  • 公益社団法人 日本口腔外科学会「口腔外科相談室」
    https://www.jsoms.or.jp/public/

⚕️ 医療情報についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。

歯

監修:岡村 裕彦(歯科医師・大学教授)|所属・経歴はプロフィールへ ›

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