抜歯後の穴はいつふさがる?ドライソケットの見分け方と対処

抜歯後の穴,いつふさがるの?不安なあなたへ
親知らずや虫歯で歯を抜いたあと,「ぽっかり空いた穴がいつまでも気になる」「食べかすが詰まって不安」という声をよくお聞きします。この記事では,抜歯後の穴がふさがるまでの流れや,注意すべき「ドライソケット」の見分け方,対処法までやさしく解説します。
抜歯後の穴がふさがるまでの期間の目安
抜歯後の穴(抜歯窩:ばっしか)は,次のような段階を経て治っていきます。
| 経過 | 状態 |
|---|---|
| 当日〜翌日 | 血のかたまり(血餅:けっぺい)ができ,穴にふたをする |
| 1週間程度 | 歯ぐきが寄ってきて穴が少しずつ小さくなる |
| 1か月程度 | 表面の歯ぐきがほぼふさがる |
| 3〜6か月 | 内部の骨が再生し,くぼみが徐々に平らに近づく |
親知らずのように大きな歯を抜いた場合は,穴がふさがりきるまで数か月かかることもあります。「まだ穴が残っている」と感じても,表面がきれいに閉じていれば心配しすぎる必要はありません。
要注意!「ドライソケット」ってなに?
抜歯後のトラブルで多いのが「ドライソケット」です。これは,本来穴の中にできるはずの血のかたまり(血餅)がはがれてしまい,骨がむき出しになってしまう状態をいいます。
ドライソケットの見分け方
- 抜歯後2〜4日目から,ズキズキとした強い痛みが続く
- 痛み止めが効きにくい
- 穴の中が赤黒いゼリー状ではなく,白っぽい・灰色っぽい骨のように見える
- 口臭が強くなる,嫌な味がする
- 耳やこめかみまで痛みが広がる
通常の抜歯後の痛みは2〜3日をピークに和らいでいきます。それなのに「日が経つほど痛みが強くなる」場合は,ドライソケットの可能性がありますので,早めに歯科医院へご相談ください。
ドライソケットになりやすい人・原因
- 抜歯後に何度もうがいをして血餅を流してしまった
- ストローで強く吸う,たばこを吸うなどで口の中が陰圧になった
- 抜いた側で硬いものを噛んだ
- 喫煙習慣がある
- 下あごの親知らずの抜歯(発生頻度が高いとされます)
ドライソケットになったときの対処と費用
自宅でできる応急処置
- 穴を触らない,舌や指で確認しない
- 強いうがいは避け,口に含んでそっと吐き出す程度にする
- 市販の痛み止め(アセトアミノフェン等)を用法用量を守って使用する
- 禁煙・禁酒を心がける
歯科医院での治療
歯科では,穴の中を洗浄し,痛みを和らげる軟膏や抗生物質を含んだガーゼ・ペーストを詰める処置を行います。多くの場合,数日おきに通院し,1〜2週間ほどで痛みが落ち着いていきます。
費用の目安
| 処置内容 | 費用(3割負担の場合) | 保険適用 |
|---|---|---|
| 再診・洗浄・薬剤填入 | 1回あたり約500〜1,500円程度 | 保険適用 |
| 処方薬(鎮痛剤・抗生物質) | 数百円〜1,000円程度 | 保険適用 |
ドライソケットの処置は基本的に健康保険の対象となります。自費診療になることは通常ありませんので,安心して受診してください。
抜歯後にやってはいけないこと
- 当日の激しいうがい・歯ブラシでの強いこすり洗い
- 当日の飲酒・長風呂・激しい運動(出血の原因になります)
- 喫煙(治りが大幅に遅れます)
- ストローで飲み物を強く吸う
- 気になって舌や指で穴を触ること
こんなときはすぐ受診を
- 抜歯から3日経っても痛みが強くなる一方
- 出血が止まらない(ガーゼを噛んでも1時間以上続く)
- 顔が大きく腫れる,発熱がある
- 口が開けにくい,飲み込むと痛い
これらの症状は,ドライソケット以外にも感染などの可能性があります。自己判断せず,必ず歯科医師にご相談ください。症状や体質によって適切な対応は異なりますので,気になる点は抜歯を受けた歯科医院へ早めにお問い合わせいただくことをおすすめします。
まとめ
抜歯後の穴は,表面がふさがるまでに約1か月,骨の回復までに3〜6か月ほどかかります。多くの場合は自然に治りますが,強い痛みが続く「ドライソケット」には注意が必要です。処置は保険適用で受けられますので,不安を感じたら我慢せず歯科医院を頼ってくださいね。
参考情報
- 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」抜歯後の注意事項
- 公益社団法人 日本口腔外科学会「口腔外科相談室:抜歯後の痛み・ドライソケット」
- 日本有病者歯科医療学会 診療ガイドライン関連資料
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・大学教授)|所属・経歴はプロフィールへ ›
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