入れ歯の正しい洗い方と保管方法|やってはいけないお手入れ

入れ歯のお手入れ,自己流になっていませんか?
こんにちは,歯科医師です。「毎日ちゃんと洗っているつもりなのに,入れ歯がなんだかニオう」「気づいたら変色している」――そんなお悩みをお持ちの方は意外と多いものです。入れ歯は毎日お口の中に入れる大切な道具ですから,正しいお手入れを続けることで,清潔さや快適な使い心地を保ちやすくなります。
今回は,入れ歯の正しい洗い方と保管方法,そして「やってはいけないお手入れ」についてわかりやすくお伝えします。
入れ歯を清潔に保つことが大切な理由
入れ歯の表面には,天然の歯と同じようにプラーク(歯垢)が付着します。さらに「デンチャープラーク」と呼ばれる,入れ歯特有のネバネバした細菌の膜ができやすく,これを放置すると以下のようなトラブルにつながります。
- 口臭の原因になる
- 歯ぐきの炎症(義歯性口内炎)を起こす
- 残っている歯のむし歯や歯周病が進みやすくなる
- カンジダ菌が増え,誤嚥性肺炎のリスクを高めることがある
特にご高齢の方では,入れ歯の汚れが全身の健康にも影響する可能性が指摘されています。
入れ歯の正しい洗い方
1.毎食後,流水下でブラッシング
食後は必ず入れ歯を外し,流水下で入れ歯専用ブラシを使ってやさしく洗いましょう。落下すると割れることがあるため,洗面器に水を張るか,タオルを敷いた上で洗うと安心です。
2.入れ歯専用洗浄剤を1日1回使う
ブラッシングだけでは落としきれない細菌やヌメリを除去するために,1日1回は入れ歯洗浄剤での浸け置きをおすすめします。製品ごとの使用時間(5分〜一晩など)を守りましょう。
3.残っている歯や歯ぐきのケアも忘れずに
入れ歯を外した後のお口の中もやさしく磨き,粘膜を清潔に保つことが大切です。
やってはいけないお手入れ
| NG行為 | 理由 |
|---|---|
| 歯磨き粉で磨く | 研磨剤で入れ歯に細かい傷がつき,汚れや細菌が付きやすくなります |
| 熱湯で消毒する | 変形してお口に合わなくなる原因になります(60℃以上は避ける) |
| 乾燥した状態で保管 | ひび割れや変形の原因になります |
| 漂白剤・台所用洗剤の使用 | 金属部分の腐食や素材の劣化を招きます |
| 硬いブラシでゴシゴシ磨く | 傷の原因になり,不衛生になりやすくなります |
正しい保管方法
就寝時に入れ歯を外す場合は,必ず水または洗浄液に浸けて保管してください。入れ歯の素材(レジン)は乾燥すると変形やひび割れを起こしやすいためです。
- 流水下で汚れを落とす
- 専用容器に水または洗浄液を入れる
- 完全に水に浸かるように保管する
- 容器は毎日洗って清潔に保つ
なお,就寝時に入れ歯を外すかどうかは,口腔内の状態によって判断が異なります。自己判断せず,必ず歯科医師にご相談ください。
入れ歯の調整・作り直しの目安と費用
入れ歯は使い続けるうちに合わなくなったり,摩耗したりします。目安として以下を参考にしてください。
調整・修理の目安
- 定期チェック:3〜6か月に1回
- 作り直しの目安:4〜5年程度(個人差があります)
費用の目安
| 種類 | 保険/自費 | 費用の目安 | 製作期間 |
|---|---|---|---|
| レジン床義歯 | 保険適用 | 総義歯で約1〜1.5万円(3割負担) | 約1〜2か月 |
| 金属床義歯 | 自費 | 約30〜60万円 | 約1〜2か月 |
| ノンクラスプデンチャー | 自費 | 約10〜30万円 | 約1か月 |
| 入れ歯の調整・修理 | 保険適用の場合あり | 数百〜数千円程度(3割負担) | 当日〜数日 |
※費用・期間はあくまで目安であり,医療機関や症例によって異なります。
こんなときは早めに受診を
- 入れ歯が痛い・外れやすい
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 入れ歯にヒビや変色がある
- 口臭が気になる
自己流で削ったり接着剤で直したりするのは危険です。違和感がある場合は,必ず歯科医師にご相談ください。
まとめ
入れ歯を長く快適に使うコツは,「やさしく毎日洗う」「水に浸けて保管する」「定期的に歯科でチェックを受ける」の3つです。小さな習慣の積み重ねが,お口と全身の健康を守ることにつながります。
参考情報
- 厚生労働省「口腔の健康と全身の健康」
- 日本歯科医師会「テーマパーク8020:入れ歯のお手入れ」
- 日本補綴歯科学会「有床義歯補綴診療のガイドライン」
- 日本老年歯科医学会「高齢者の義歯ケアに関する指針」
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の症状や治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・岡山大学 教授)|監修・編集方針を見る ›
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