口呼吸が歯並びと虫歯に与える影響|鼻呼吸に戻すトレーニング

口呼吸が歯並びと虫歯に悪影響?今日からできる鼻呼吸トレーニング
「気づくと口が開いている」「朝起きると喉がカラカラ」「子どもがいつもポカンと口を開けている」…こんなお悩みはありませんか?実はその口呼吸,お口の健康にじわじわとダメージを与えているかもしれません。今回は歯科医師の立場から,口呼吸が歯並びや虫歯に与える影響と,鼻呼吸に戻すためのトレーニングについてわかりやすくお伝えします。
口呼吸がもたらす3つのリスク
1. 歯並びが乱れやすくなる
お口を閉じているとき,本来は舌が上あごにぴたっとくっついています。この舌の圧力が上あごを広げ,きれいな歯並びのアーチをつくる手助けをしているのです。ところが口呼吸をしていると,舌の位置が下がり,上あごが十分に広がりません。その結果,
- 出っ歯(上顎前突)
- 開咬(前歯が噛み合わない)
- 叢生(歯のガタガタ)
といった歯並びの乱れが起こりやすくなります。特にお子さんの成長期では影響が大きく,顔つき(アデノイド顔貌)にも関係することが知られています。
2. 虫歯・歯周病が増えやすい
お口の中が乾くと,唾液の自浄作用や抗菌作用が十分に働きません。唾液には歯の再石灰化を助ける働きもあるため,口呼吸でお口がカラカラの状態が続くと,虫歯菌・歯周病菌が活発化しやすくなります。「ちゃんと磨いているのに虫歯ができる」という方は,口呼吸が隠れた原因かもしれません。
3. 口臭・風邪・睡眠の質の低下
口呼吸ではウイルスや細菌をダイレクトに吸い込むため,風邪や扁桃炎にかかりやすくなります。また,いびきや睡眠時無呼吸との関連も指摘されており,日中の集中力低下にもつながります。
自分でできる口呼吸チェック
- 日中,気づくと口が開いている
- 朝起きると口や喉が乾いている
- 唇がよく乾燥する・荒れる
- いびきをかく
- 下唇が厚ぼったい,上の前歯が乾いている
2つ以上当てはまる方は,口呼吸の習慣がある可能性が高いといえます。
鼻呼吸に戻すトレーニング(あいうべ体操・MFT)
あいうべ体操
口まわりと舌の筋肉を鍛える体操です。1日30回を目安にゆっくり行いましょう。
- 「あー」と大きく口を開ける
- 「いー」と口を横に広げる
- 「うー」と唇を前に突き出す
- 「べー」と舌を思いきり下に伸ばす
舌を正しい位置に置く(スポット)
舌先を上の前歯の少し後ろ(スポット)に置き,舌全体を上あごに吸い付けるようにします。これが本来の舌の定位置です。慣れるまでは意識的に続けてみてください。
就寝時の口閉じテープ
市販の口閉じテープを使うのも一つの方法です。ただし鼻づまりがある方は窒息のリスクがあるため,必ず耳鼻科や歯科で相談してから使用しましょう。
歯科での対応と費用・期間の目安
| 治療・トレーニング | 費用の目安 | 期間の目安 | 保険/自費 |
|---|---|---|---|
| MFT(口腔筋機能療法) | 1回2,000〜5,000円程度 | 6ヶ月〜2年 | 原則自費(矯正に付随する場合あり) |
| 小児の予防矯正(床矯正等) | 総額30万〜50万円程度 | 1〜3年 | 自費 |
| 本格矯正治療 | 総額60万〜130万円程度 | 2〜3年 | 自費(一部疾患は保険適用) |
| 虫歯治療(口腔乾燥由来含む) | 1,500〜3,500円/回程度 | 1〜数回 | 保険適用 |
※費用は医院や症例により異なります。鼻づまりが原因の場合は耳鼻咽喉科での治療(保険適用)が先に必要となることもあります。
まとめ
口呼吸は,歯並びの乱れ・虫歯・歯周病・口臭・睡眠の質の低下など,さまざまなトラブルの引き金になります。「あいうべ体操」や舌の位置の意識づけなど,今日から始められるトレーニングも多くありますので,まずはできることから習慣にしてみてください。ただし,鼻づまりや骨格的な問題が背景にあるケースもあります。気になる症状がある方は,自己判断せず必ず歯科医師にご相談ください。お子さんの場合は,成長期の早い段階で相談されることをおすすめします。
参考情報
- 厚生労働省「e-ヘルスネット:歯と口の健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 日本歯科医師会「テーマパーク8020」https://www.jda.or.jp/park/
- 日本口腔筋機能療法学会(MFT学会)関連資料
- 今井一彰『「あいうべ体操」で免疫力アップ』関連論文
- 日本小児歯科学会「小児の口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」
著者:歯科医師
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・岡山大学 教授)|監修・編集方針を見る ›
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