口が乾く・ネバつく|ドライマウスの原因と唾液を増やす方法

朝起きると口がカラカラ…その「ドライマウス」,放っておかないで
「最近,口の中がネバネバする」「夜中に乾いて目が覚める」「話していると舌が張りつく感じがする」――そんなお悩みはありませんか? それはドライマウス(口腔乾燥症)かもしれません。唾液は,お口の健康だけでなく全身の健康にも深く関わる大切なものです。今回は,患者さんから特に多いご質問に沿って,原因・対策・治療の目安までやさしく解説します。
ドライマウスってどんな状態?
健康な成人の唾液は,1日におよそ1〜1.5リットル分泌されると言われています。これが何らかの原因で減ってしまい,お口の中が乾いたり,ネバついたりする状態がドライマウスです。
こんなサインはありませんか?
- 口の中がネバネバする,朝起きたときに特に乾く
- 乾いた食品(パン・クッキーなど)が飲み込みにくい
- 話しづらい,舌がヒリヒリする
- 口臭が気になる
- むし歯や歯周病が増えてきた
- 入れ歯がこすれて痛い
3つ以上当てはまる方は,一度歯科でご相談いただくことをおすすめします。
唾液が減ってしまう主な原因
1.加齢と筋力の低下
年齢とともに唾液腺の働きはゆるやかに低下します。また,噛む力や舌の動きが弱まると,唾液腺への刺激も減ってしまいます。
2.お薬の副作用
意外と見落とされがちなのが,服用中のお薬の影響です。降圧薬,抗うつ薬,抗ヒスタミン薬(花粉症の薬),睡眠薬など,口が渇く副作用のあるお薬は数百種類にのぼります。
3.口呼吸・いびき
鼻ではなく口で呼吸していると,お口の中の水分がどんどん蒸発してしまいます。朝起きたときに乾いている方は要注意です。
4.ストレス・緊張
自律神経のうち交感神経が優位になると,サラサラした唾液が出にくくなり,ネバついた唾液が増えます。
5.病気によるもの
糖尿病,シェーグレン症候群,放射線治療後などでも唾液量が減少することがあります。
自宅でできる!唾液を増やすセルフケア
唾液腺マッサージ
- 耳下腺:耳たぶのやや前方(上の奥歯あたり)を,指4本で円を描くように10回
- 顎下腺:あごの骨の内側のやわらかい部分を,親指で奥から前へ5回
- 舌下腺:あごの先の下,くぼんだ部分を両手の親指でグーッと10回ほど押し上げる
生活のなかで取り入れたい習慣
- よく噛んで食べる(ひと口30回を目安に)
- こまめな水分補給(お茶やコーヒーより水や麦茶が◎)
- 鼻呼吸を意識する
- 加湿器で部屋の湿度を保つ
- キシリトールガムを噛む(むし歯予防にもなります)
- 「あいうべ体操」で舌とお口まわりの筋肉を鍛える
歯科での治療・対処法
セルフケアで改善しない場合は,歯科での相談をおすすめします。治療の内容と費用の目安をまとめました。
| 内容 | 費用の目安 | 保険/自費 |
|---|---|---|
| 口腔乾燥の検査・診断(唾液量測定など) | 約1,000〜3,000円(3割負担時) | 保険適用(原因疾患がある場合) |
| 保湿ジェル・スプレー(市販) | 約800〜2,000円/本 | 自費 |
| 人工唾液(サリベート等) | 処方で数百円程度(3割負担時) | 保険適用(適応症あり) |
| 唾液分泌促進薬(サラジェン等) | 月数百〜数千円(3割負担時) | 保険適用(シェーグレン症候群等) |
| 口腔機能訓練・指導 | 保険点数に準ずる | 保険適用の場合あり |
治療期間の目安
ドライマウスは「すぐに治るもの」ではなく,生活習慣の見直しとあわせて3か月〜半年程度,じっくり取り組むことで改善を実感される方が多い印象です。原因が服薬や全身疾患にある場合は,内科と連携しながら長期的にお付き合いしていくこともあります。
放っておくとどうなる?
唾液には,食べかすを洗い流す「自浄作用」,むし歯菌を抑える「抗菌作用」,お口の粘膜を守る「保護作用」など,たくさんの働きがあります。唾液が減ると,むし歯・歯周病・口臭・味覚異常・入れ歯の痛みなどが起こりやすくなります。「ただ乾くだけ」と軽く見ず,早めのケアを心がけましょう。
最後に
ドライマウスは年齢のせいとあきらめがちですが,原因を見つけて適切にケアすれば,お口の潤いは取り戻せる可能性があります。症状が気になる方は,自己判断で市販品だけに頼らず,必ず歯科医師にご相談ください。服用中のお薬がある方は,お薬手帳をお持ちいただくとスムーズです。
参考情報
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」口腔乾燥症(ドライマウス)に関する解説
- 日本歯科医師会「テーマパーク8020」口腔乾燥症・唾液の働きについて
- 日本口腔外科学会「口腔乾燥症(ドライマウス)」解説ページ
- 日本老年歯科医学会 学術論文「高齢者の口腔乾燥と口腔機能」
- 日本口腔ケア学会 関連資料
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり,個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療に関する詳細は,かかりつけの歯科医院でご確認ください。
著者:歯科医師
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
監修:岡村 裕彦(歯科医師・岡山大学 教授)|監修・編集方針を見る ›
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