治療後の詰め物・被せ物が取れた!応急処置と受診のタイミング

治療後の詰め物・被せ物が取れた!応急処置と受診のタイミング
食事中に「カリッ」と何かが取れた感覚がして,口の中から金属や白い塊が出てきた……そんな経験はありませんか? 治療した歯の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)が外れてしまうトラブルは,決してめずらしいことではありません。「痛みはないから大丈夫かな?」「すぐに歯医者に行くべき?」と迷う方も多いと思います。この記事では,詰め物・被せ物が取れたときの正しい応急処置と,受診のタイミングについてやさしく解説します。
まず落ち着いて!取れた詰め物・被せ物はどうする?
詰め物や被せ物が外れたときに,まずやっていただきたいことをまとめました。
1. 取れたものは捨てずに保管する
取れた詰め物や被せ物は,そのまま歯に戻して再接着できる場合があります。特に金属の被せ物は変形しにくいため,再利用できることも少なくありません。ティッシュに包むと誤って捨ててしまいがちなので,小さな容器やジッパー付きの袋に入れて保管し,受診の際に必ず持参してください。
2. 取れた歯の周辺を清潔に保つ
詰め物が外れた部分には食べかすが詰まりやすく,虫歯や歯周病の原因になります。うがいをして食後は丁寧に歯みがきをしましょう。ただし,強くこすったり爪楊枝で穴をつついたりするのは避けてください。
3. 自分で接着剤を使わない
市販の瞬間接着剤で戻そうとする方がいますが,これは避けてください。接着剤の成分が歯や粘膜を傷めることがあり,また正しい位置に戻せないと噛み合わせがずれて,かえって治療が複雑になります。
4. 取れた側では噛まないようにする
詰め物が取れた歯はもろくなっており,強く噛むと割れてしまうことがあります。反対側で噛むように心がけましょう。熱いもの・冷たいもの・甘いものがしみやすくなるので,刺激の少ない食事を選ぶと安心です。
受診のタイミングはいつがベスト?
「痛くないから急がなくていいかな」と考える方も多いのですが,放置するとさまざまなリスクがあります。以下の表を参考にしてください。
| 状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 激しい痛み・腫れがある | できるだけ早く(当日〜翌日) |
| しみる・違和感がある | 数日以内 |
| 痛みはないが取れた | 1週間以内が望ましい |
| 前歯など見た目に影響する | 早めに相談 |
放置すると,以下のような問題が起こりやすくなります。
- 隣の歯が動いて,元の詰め物が入らなくなる
- 露出した象牙質から虫歯が進行する
- 歯が欠けたり割れたりする
- 神経に達して痛みや根の治療が必要になる
治療内容と費用・期間の目安
受診後の治療は,取れた部分の状態によって変わります。あくまで一般的な目安ですが,参考にしてください。
再接着で済むケース
- 費用:保険適用で数百円〜1,500円程度(3割負担の場合)
- 期間:1回の通院で完了することが多いです
新しく作り直すケース
- 保険適用の場合:3割負担で3,000円〜7,000円程度(詰め物・被せ物の種類による)
- 自費(セラミック・ジルコニアなど)の場合:1本あたり50,000円〜150,000円程度が一般的です
- 期間:型取りから装着まで2〜4回の通院で,2〜4週間ほどかかることが多いです
虫歯が進行していた場合
- 神経の治療(根管治療)が必要になると,通院回数が3〜6回程度に増え,期間も1〜2か月かかることがあります
- 費用は保険適用で数千円〜1万円程度が目安です
費用や期間は,お口の状態や医療機関によって異なります。詳しくは受診時に説明を受けてください。
予防のためにできること
詰め物・被せ物は一生ものではなく,長年使えば劣化していきます。次のようなことに気をつけると,トラブルを減らせます。
- 硬いもの(氷・飴・骨付き肉など)を強く噛まない
- 粘着性のあるもの(キャラメル・ガム)を控えめにする
- 就寝時の食いしばり・歯ぎしりが気になる方はナイトガードを検討する
- 定期検診で詰め物のすき間や劣化を早めにチェックする
まとめ
詰め物や被せ物が取れたときは,慌てずに取れたものを保管し,早めに歯科医院を受診しましょう。痛みがなくても放置は禁物です。応急処置はあくまで一時的なもので,自己判断で戻したり接着剤を使ったりすることは避けてください。お口の中の状態は一人ひとり異なりますので,気になる症状がある場合は必ず歯科医師にご相談ください。
参考情報
- 厚生労働省「歯科医療の現状について」
https://www.mhlw.go.jp/ - 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
https://www.jda.or.jp/park/ - 日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン」
https://www.hozon.or.jp/ - 日本補綴歯科学会「補綴歯科診療ガイドライン」
https://www.hotetsu.com/
著者:歯科医師
⚕️ 医療情報についてのご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。
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