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専門家コラム2026-09-146

朝起きると顎がだるい|睡眠中の食いしばりに気づく方法と対策

朝起きると顎がだるい|睡眠中の食いしばりに気づく方法と対策

朝起きると顎がだるい…それ,睡眠中の「食いしばり」かもしれません

「朝起きたとき,なんだか顎が重い」「こめかみが疲れている」「口を開けにくい」——そんな経験はありませんか? 自覚がないだけで,寝ている間に強く歯を食いしばっている方は少なくありません。今回は,睡眠中の食いしばり(睡眠時ブラキシズム)に気づくヒントと,ご自宅でできる対策,歯科医院での治療について,やさしくお伝えします。

そもそも睡眠中の食いしばりとは?

睡眠中に無意識で歯を強く噛みしめたり,ギリギリとこすり合わせたりする動きを「ブラキシズム」といいます。歯ぎしり(グラインディング)と食いしばり(クレンチング)に大きく分けられ,どちらも顎の筋肉や歯,顎関節に大きな負担をかけます。

日中の噛む力はせいぜい自分の体重程度ですが,睡眠中の食いしばりでは,その2〜5倍もの力がかかることがあると報告されています。これが毎晩続けば,朝起きたときに顎がだるくなるのも無理はありません。

こんなサインがあれば要注意

ご自身では気づきにくい睡眠中の食いしばりですが,次のようなサインがヒントになります。

  • 朝起きたときに顎やこめかみがだるい,重い
  • 朝,口を開けにくい・カクッと音がする
  • 頬の内側や舌の縁に歯型のあとがついている
  • 奥歯がすり減っている,欠けている
  • 知覚過敏がある,冷たいものがしみる
  • 起床時に頭痛や肩こりがある
  • 家族から「歯ぎしりの音がする」と言われたことがある

3つ以上当てはまる場合は,一度歯科医院でチェックを受けることをおすすめします。

気づく方法:セルフチェックのすすめ

1. 起床直後の顎の状態を観察する

目が覚めた瞬間,「顎に力が入っていないか」「疲労感はないか」を確認する習慣をつけてみましょう。1週間ほど続けると,自分の傾向が見えてきます。

2. 頬・舌のあとをチェックする

鏡で頬の内側や舌の縁を見て,白っぽい線状のあとや歯型がついていないか確認します。これは食いしばりのサインとしてよく見られます。

3. 家族に協力してもらう

音を伴う歯ぎしりは,同居する方に聞いてもらうのが確実です。スマートフォンの録音アプリを使って一晩記録するのも一つの方法です。

自宅でできる対策

  1. 「歯を離す」意識を日中から持つ:本来,上下の歯は安静時には接触していません。日中「歯が当たっているな」と気づいたら,そっと離しましょう。この習慣が夜間の食いしばり軽減にもつながると言われています。
  2. 就寝前のリラックス:ぬるめの入浴,ストレッチ,深呼吸などで顎まわりの緊張をゆるめます。
  3. 寝る姿勢を見直す:うつ伏せ寝や横向きは顎に片寄った力がかかりやすいため,仰向けを意識してみましょう。
  4. カフェイン・アルコールを控える:睡眠の質が下がると,食いしばりが強まる傾向があります。
  5. ストレスケア:ブラキシズムはストレスとの関連が指摘されています。ご自身に合った気分転換を大切にしてください。

歯科医院での治療

ナイトガード(マウスピース)

睡眠中に装着する専用のマウスピースで,歯や顎への負担を和らげます。歯科医院で歯型をとり,ご自身に合ったものを作製します。

項目目安
費用(保険適用)3割負担で約5,000円前後
費用(自費)種類により約15,000〜50,000円程度
作製期間型取りから完成まで約1〜2週間
使用期間1〜3年程度で作り直しが目安(すり減り具合による)

※費用は医療機関により異なります。詳細は受診先の歯科医院にご確認ください。

咬み合わせの調整・被せ物の修正

強く当たっている部分がある場合,わずかな調整で顎の負担が変わることがあります。保険適用となるケースが多いです。

ボツリヌス療法(自費)

咬筋が発達して負担が大きい方に選択肢となる場合があります。費用は片側20,000〜50,000円程度,効果の持続は約4〜6か月が目安です。適応は個人差がありますので,歯科医師とよくご相談ください。

治療期間の目安

ナイトガードを装着し始めてから,顎のだるさが軽くなるまでは,早い方で数日〜2週間,一般的には1〜3か月ほどかけて様子を見ることが多いです。原因や生活習慣によって個人差があります。

放っておくとどうなる?

  • 歯がすり減る・欠ける・割れる
  • 詰め物・被せ物が外れやすくなる
  • 知覚過敏の悪化
  • 顎関節症の発症・悪化
  • 慢性的な頭痛・肩こり

「たかが食いしばり」と思われがちですが,長期的にはお口全体の健康に影響します。早めのケアが将来の負担を減らします。

まとめ

朝の顎のだるさは,睡眠中の食いしばりからのサインかもしれません。まずはセルフチェックで気づくこと,そして日中の「歯を離す」意識やリラックス習慣から始めてみてください。症状が続く場合や不安がある場合は,自己判断せず,必ず歯科医師にご相談ください。あなたに合った対策を一緒に考えてくれるはずです。

参考情報

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯ぎしり」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  • 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
    https://www.jda.or.jp/park/
  • 日本顎関節学会「顎関節症の治療指針」
    https://kokuhoken.net/jstmj/
  • Lobbezoo F, et al. International consensus on the assessment of bruxism. Journal of Oral Rehabilitation, 2018.

著者:歯科医師

⚕️ 医療情報についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。

監修:岡村 裕彦歯科医師・岡山大学 教授)|監修・編集方針を見る ›

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